Be happy to love

平日の午前中。僕は自宅で仕事をしていた。
妻はアルバイト、息子は小学校に出ている。一人だけのリビングはとても静かで仕事も珍しくはかどっていた。

しばらくすると玄関チャイムが鳴った。来訪者だ卓悅假貨。
仕事を中断してインターホンのモニタ画面を見た。中年夫人が二人。さて、どうしようか。僕は迷った。今まで経験上、この手のタイプにはおよそツーパターンある。一つは生命保険の勧誘であり、もう一つは宗教関係。どちらにしても今は不要な相手である。

本来であれば玄関を開けて用件を聞き、しかる後に断りを入れるのが正式なマナーであろうが、シャイで人見知りする僕は手堅く居留守を使う事を選択した。部屋の中で息を潜める。
しばしの間があってから来訪者は帰って行った。モニタ画面から夫人らの姿が完全に消えるのを確認し、仕事に戻った。

こういう時、僕の心臓はとてもドキドキしている。
気が小さいと言われればそれまでなのだが、居留守の相手がドア一枚挟んだ向こう側にいる状況って、やはり緊張感を感じてしまう。映画でよくある、ターゲットとのニアミスみたいだ。私は孤独なスナイパー。標的の映るモニタ画面を見つめ、押すか押さぬか通話ボタンに手を掛ける。そして無言のまま敵と対峙する――みたいな。

そんな事を考えていたらすっかり棒立ちになっていた。いかんいかん。頭を振り、仕事モードに切り替える。椅子に座り、パソコンに向き合う。しかしこういう時に限って普段は鳴らない玄関チャイムは鳴らされるのだ。ぴん・ぽーん、と。

次の来訪者はウインドブレーカーに柄シャツのおっさんだった。ほぼ間違いなく新聞屋だ。海千山千のおっさんとやり合ったって、自分の負けは見えている。今回もやはりパスしよう。ドキドキをおさえてやり過ごす香港如新。三回ほどチャイムは鳴らされ、彼は諦めて帰って行った。

さあ仕事だ。すると三人目がチャイムを鳴らした。今度は作業ジャンパーを羽織ったおじさんだった。ずばり太陽光発電。ここまで来るともうドキドキなんてしなくなる。人間の適応能力はさすがだ。

僕は黙ってモニタ画面を見ていた。二度目、三度目とチャイムは鳴る。こちらは一切対応しない。そして四度目が鳴らされた。おじさんは結構しぶとかった。こうなれば根比べだった。じりじりと時が過ぎた。ようやく相手が諦め、背中を見せて歩き始めた。勝った。そう思った。

その時、モニタ画面の先に見覚えのある姿が見えた。黄色い帽子にランドセル……学校から帰って来た息子だった。しまった、今日は午前授業だったか。作業服のおじさんと息子がすれ違う。このまま息子がチャイムを鳴らし僕が玄関を開ければ居留守がばれてしまう。

それは実に微妙なタイミングだった。おじさん早く去って。そして息子よ、もっとゆっくり歩いて！願いが通じたのか、息子が家に近づいた時、おじさんは停めてあった営業車に乗った。すぐさま玄関ドアを開けnu skin 如新、驚く息子を家の中に入れた。まさに間一髪だった。

その後なんだか異様に疲れてしまい仕事どころでは無くなってしまった。無用な来訪者って本当に迷惑である。